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- 糖尿病 - 血糖自己測定(SMBG)の正しい方法とメリット、尿糖測定との違いについて
糖尿病 - 血糖自己測定(SMBG)の正しい方法とメリット、尿糖測定との違いについて
2025.02.05
この記事では、「血糖自己測定」について解説していきます。後半部分では、「血糖測定器を使う際の注意点」や「測定結果の見方」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
血糖自己測定とは?
血糖測定器を使った適切な測定方法
持続血糖測定のFreeStyleリブレとは?
血糖測定器を使う際の注意点
測定結果の見方と活用法
血糖コントロールへの応用
血糖自己測定の保険適用と費用
よくある質問(FAQ)
適切な方法で血糖自己測定を行いましょう
血糖自己測定とは?
血糖自己測定(SMBG:Self-Monitoring of Blood Glucose)は、患者さん自身が専用の測定器を使って指先から少量の血液を採取し、血糖値を測定する方法です。
この自己測定は、糖尿病治療において非常に重要な役割を果たしています。特にインスリン治療中の患者さんにとって、低血糖の早期発見や予防、インスリン量の調整に不可欠なツールとなっています。
血糖値は食事、運動、ストレスなどの影響で日内変動が大きいため、定期的な医療機関での検査だけでは、日々の血糖値の変動を把握することが困難です。そのため、自己測定によって血糖値を測定することが重要です。
血糖自己測定により、食前・食後の血糖値の変化や、運動による影響を確認することができるため、より細やかな治療調整が可能となります。また、測定結果を記録することで、生活習慣と血糖値の関係性を理解し、自己管理能力の向上にもつながります。
なお、測定頻度については治療内容や血糖コントロールの状態によって個人差がありますが、一般的な目安として、インスリン治療中の方は1日3-4回(毎食前と就寝前)の測定が推奨されます。
また、経口糖尿病薬を使用している方は、基本的には主治医の指示に従いますが、週に2-3回程度の測定で十分な場合も多いです。定期的な測定により、より安全で効果的な糖尿病治療を実現することができます。
血糖測定器を使った適切な測定方法
正確な測定値を得るためには、適切な手順で実施することが不可欠です。ここでは、患者さんご自身が安全かつ正確に血糖値を測定するための手順をわかりやすく説明します。まずは測定を始める前に、以下の物品をご準備ください。
<必要な物品>
・血糖測定器
・血糖測定用センサー
・穿刺器具
・穿刺針(ランセット)
・アルコール綿
・記録ノート
・使用済み針専用の廃棄容器
以下、正確に血糖値を測定するための手順です。
<測定手順>
1.必要物品を準備します
測定に必要な物品をすべて手の届く場所に用意します。そして測定器の電源を入れ、正常に作動することを確認します。なお、センサーの使用期限を確認し、期限切れのものは使用しないようにしてください。
2.流水で手を洗い、乾かす
微温湯でしっかりと手を洗います。手が冷たいと血液が出にくいため、必要に応じて少し温めてください。そして清潔なタオルでよく水分を拭き取ってください。
3.穿刺具に針をセットします
新しい穿刺針を取り出し、穿刺器具に正しくセットします。この時、針先に触れないよう注意してください。なお、深さ調整は自分の皮膚の厚さに合わせて設定してください。
4.測定器にセンサーをセットします
センサーを測定器に差し込みます。この時、測定器の表示を確認し、正しく認識されているか確認します。エラーが表示された場合は、センサーを差し直してください。
5.消毒綿で指先(手のひら)を消毒し、よく乾燥させます
アルコール綿で穿刺部位を丁寧に消毒します。アルコールが完全に乾いてから穿刺を行ってください。アルコールが残っていると、測定値に影響を与える可能性がありますので、ご注意ください。
6.穿刺します
中指か薬指の腹部の端から少し内側を穿刺します。同じ場所を繰り返し穿刺しないよう、部位をローテーションすることが大切です。
7.必要量の血液をセンサーに吸い取ります
十分な量の血液が出たら、センサーの先端を血液に軽く触れさせます。強く押しつけたり、こすりつけたりせず、自然に吸い上げられるのを待ちます。
8.数秒程度で結果が表示されます
測定器の表示画面に測定値が表示されるまで、静かに待ちます。エラーが表示された場合は、新しいセンサーで再測定を行ってください。
9.結果を記録します
測定値を記録ノートに記入します。日付、時間、食事との関係(食前・食後など)も併せて記録しておくと、血糖値の変動パターンを把握するのに役立ちます。
10.針を針捨てに捨てて片付けます
使用済みの穿刺針は、必ず専用の廃棄容器に入れます。決して家庭ごみとして捨てないでください。廃棄容器がいっぱいになったら、かかりつけの医療機関や薬局に相談するか、お住まいの自治体の指示に従って適切に処分してください。
持続血糖測定のFreeStyleリブレとは?
持続血糖測定デバイスであるFreeStyleリブレは、糖尿病患者の血糖管理に革新をもたらしています。このデバイスは、isCGM(間歇スキャン式持続グルコースモニタリング)技術を使用し、従来の指先穿刺による血糖測定に代わる新しい選択肢となっています。
リブレの主な特徴:
1. 14日間連続使用可能:センサーを上腕に装着すると、2週間にわたって血糖値の変動を記録します。
2. 非侵襲的測定:指先穿刺が不要で、服の上からでもスキャンが可能です。
3. リアルタイムデータ:最新のリブレ2では、1分ごとに血糖値が更新されます。
4. 血糖変動の可視化:スマートフォンアプリを通じて、血糖値の推移をグラフで確認できます。
5. アラート機能:低血糖や高血糖時にアラートを設定できます。
6. 耐水性:入浴やプールでも使用可能です。
リブレは、特にインスリン使用中の患者に保険適用されていますが、その便利さから適用外の患者にも人気があります。
ただし、急激な血糖変動時には従来の血糖測定器による確認が推奨されます。この革新的なデバイスにより、患者は血糖値の「点」ではなく「線」としての変動を把握でき、より詳細な糖尿病管理が可能になっています。
血糖測定器を使う際の注意点
血糖測定は、糖尿病の治療において欠かせない検査ですが、正確な測定値を得るためには、いくつかの重要な注意点があります。測定値の信頼性に影響を与える要因を理解し、適切な測定方法を身につけることで、より効果的な血糖コントロールが可能となります。以下では、血糖測定を行う際の主な注意点について解説します。
【血糖測定器を使う際の注意点1】採血部位
採血部位は、一般的に指先の腹部が推奨されます。特に中指や薬指の端から2-3mm程度内側が適していますが、同じ部位に頻回に穿刺すると痛みや傷跡の原因となるため、部位をローテーションすることが重要です。
親指や人差し指は神経が豊富で痛みを感じやすいため避けてください。また、浮腫のある部位や傷、感染のある部位からの採血は避ける必要があります。
【血糖測定器を使う際の注意点2】血糖値を変動させる因子を把握
正確な血糖値を得るためには、測定値に影響を与える様々な因子を理解することが重要です。食事や運動はもちろんのこと、発熱、ストレス、薬剤(特にステロイド薬)なども血糖値に影響を与えます。
また、手が冷たい場合や汚れている場合も、正確な測定値が得られない可能性があります。測定前には手を温め、十分な手洗いを行うことが大切です。測定時には、これらの因子を記録しておくことで、血糖値の変動パターンを理解するのに役立ちます。
【血糖測定器を使う際の注意点3】耳朶への穿刺は針刺し事故に注意
耳朶からの採血は、医療従事者が実施する場合に限り認められていますが、針刺し事故のリスクが高い部位です。
患者さんが突然動いた際に針が目に刺さる危険性があるため、実施する場合は必ずゴーグルを着用し、患者さんにも測定中は動かないよう十分に説明する必要があります。なお、可能な限り、より安全な指先からの採血を選択することをお勧めします。
【血糖測定器を使う際の注意点4】測定値にはバラつきがある
血糖測定器は、医療機関で使用される臨床検査機器と比べると、ある程度の誤差が生じることは避けられません。同じ血液サンプルで複数回測定しても、測定値に±10%程度のバラつきが生じることがあります。
このため、測定値が予想と大きく異なる場合は、再測定を行うことをお勧めします。また、定期的に医療機関での検査値と比較して、測定器の精度を確認することも重要です。
測定結果の見方と活用法
一般的に、空腹時血糖値は70-130mg/dL、食後2時間の血糖値は180mg/dL未満が目標とされていますが、これらの目標値は年齢や合併症の有無などによって個人差があります。そのため、血糖値の測定結果は、単に数値を記録するだけでなく、適切に解釈し活用することが重要です。
まず測定値は必ず記録し、時間帯や食事との関係、運動の有無、服薬状況なども一緒にメモしておくことをお勧めします。これにより、日々の生活習慣と血糖値の関係が明確になり、より効果的な自己管理が可能となります。
また、低血糖(70mg/dL未満)や著しい高血糖(250mg/dL以上)が記録された場合は、その時の状況を詳しく記録し、医療機関に相談することが大切です。
さらに定期的な通院の際には、記録した測定結果を必ず持参し、医師に確認してもらってください。これらの情報は、治療方針の調整や合併症予防に重要な役割を果たします。
血糖コントロールへの応用
血糖自己測定は、日常生活における血糖値の変動を把握し、より良い血糖コントロールを実現するための重要なツールです。
測定結果を効果的に活用することで、自身の治療への理解が深まり、より積極的な自己管理が可能となります。
特に食事療法との組み合わせでは、食前・食後の血糖値を測定することで、食事内容が血糖値に与える影響を具体的に理解することができます。また、運動療法においては、運動前後の血糖値を確認することで、運動が血糖値に及ぼす影響を理解し、より安全で効果的な運動習慣を確立することができます。
さらに服薬中の方は、薬の効果や作用時間を血糖値の推移から確認することができるため、医師による治療方針の調整にも重要な情報となります。ただし、測定値に一喜一憂せず、長期的な変動傾向を見ることが大切です。
定期的な測定と記録を続け、その結果を医療チームと共有することで、より良い血糖コントロールを実現し、合併症の予防につなげることができます。
血糖自己測定の保険適用と費用
糖尿病の治療において、血糖自己測定(SMBG)は重要な管理ツールとして位置づけられているため、保険診療の対象となっています。血糖自己測定器加算は、インスリン製剤又はGLP-1受容体作動薬の注射を行っている患者さん、または血糖自己測定の必要性が認められる患者さんが対象となります。測定回数に応じた保険点数は以下の通りです。
月20回以上:350点
月30回以上:465点
月40回以上:580点
月60回以上:830点
月90回以上:1,170点
月120回以上:1,490点
2023年度の診療報酬改定により、血糖自己測定指導加算(50点)が新設されました。これは、血糖自己測定の手技、結果の解釈を含めた血糖管理に関する指導を行った場合に算定できます。
なお、保険適用の上限回数は、2型糖尿病の方は月60回まで、1型糖尿病の方や妊娠中の糖尿病の方、妊娠糖尿病の方は月120回までとなっています。これを超える場合は自己負担となります。
基本的に患者さんの自己負担額は、保険の種類や負担割合によって異なりますが、1点を10円として計算されます。また、間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を使用する場合は、別途1,250点が加算されます。これは、インスリン自己注射を1日1回以上実施している方が対象となります。
さらに、消耗品として、血糖測定器の貸与料、血糖測定センサー、穿刺器具、穿刺針、消毒用アルコール綿などが保険適用に含まれています。これらの管理や使用方法については、医療機関で適切な指導を受けることが重要です。
よくある質問(FAQ)
測定に対する不安や疑問を解消することは、より効果的な自己管理につながります。ここでは、よくある質問についてわかりやすく解説します。実際の測定を始める前に、ぜひご参考にしてください。
【よくある質問1】血糖測定時の痛み
血糖測定では、指先に小さな穴を開けて採血を行うため、若干の痛みを伴います。しかし、現在の穿刺針は非常に細く作られており、多くの方は「蚊に刺されたような軽い痛み」程度と感じています。
また、穿刺の深さを調節できる機種が多いため、自分に合った設定を見つけることで痛みを最小限に抑えることができます。
痛みを軽減するコツとしては、指先の端から少し内側を穿刺すること、同じ場所を続けて刺さないこと、そして手を温めてから測定することが挙げられます。
【よくある質問2】血糖自己測定器の選び方
血糖測定器の選択は、生活スタイルや使用頻度、操作のしやすさなどを考慮して決めることが大切です。主な選択のポイントとしては、測定に必要な血液量(少ない方が採血時の負担が少なくなります)、測定時間の長さ、データの記録・管理機能、画面の見やすさ、本体の大きさなどがあります。
また、センサーや穿刺針などの消耗品の入手のしやすさや価格も重要な検討材料となります。かかりつけの医療機関や薬局に相談し、実際に機器を手に取って操作性を確認することをお勧めします。
【よくある質問3】低血糖時の対処法
低血糖(血糖値70mg/dL未満)を感じたら、まず血糖値を測定して確認することが大切です。具体的には低血糖が確認されたら、すぐにブドウ糖(5-10g)や砂糖(角砂糖2-3個)、ジュース(100-200ml)などの糖質を摂取します。
この時、チョコレートなどの脂質を含む食品は吸収が遅いため避けてください。そして糖質を摂取して15分後に再度血糖値を測定し、改善が見られない場合は追加で糖質を摂取してください。
なお、低血糖が改善しても次の食事までに時間がある場合は、低血糖の再発を防ぐため、ビスケットなどの補食をとることをお勧めします。
適切な方法で血糖自己測定を行いましょう
血糖自己測定は、糖尿病治療において欠かせない自己管理ツールです。日々の血糖値を把握することで、食事や運動、服薬による血糖値の変動を理解し、より効果的な治療につなげることができます。
また、低血糖の早期発見や予防にも役立つため、より安全な治療生活を送ることができます。したがって、積極的に血糖自己測定を行うことをお勧めします。
継続的な血糖自己測定と記録は、よりよい血糖コントロールを実現するための第一歩となります。そのため、測定結果は定期的な診察時に必ず主治医に提示し、治療方針の確認や調整に活用してください。
当院で患者さん一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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【目次】
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群にならないための予防法
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは、糖尿病と診断されるほどの高血糖ではないものの、血糖値が正常より高い状態にあることを指します。
「HbA1c 6.5%未満」「空腹時血糖が110 mg/dl以上126 mg/dl未満」「75g経口ブドウ糖負荷試験2時間の血糖値が140 mg/dl以上200 mg/dl未満」のいずれかを満たす人が該当します。
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群(境界型糖尿病)では、自覚症状がありません。
しかし体内では、既に血糖値を下げるホルモンである「インスリン」が出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
さらに高血圧や脂質異常症なども併発しやすくなり、全体として、血糖値が正常な状態に比べ、動脈硬化の進行は加速されます。
なお、動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患が引き起こされる危険性が高くなります。
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群の方は、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣を見直し、肥満や高血圧、ストレスなどに対する健康管理に取り組むことで、糖尿病へ進行するリスクを減らすことができます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、まずは生活習慣の見直しから始めてください。
なお上述した通り、糖尿病予備群でも、既に血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、絶対に放置してないでください。
糖尿病予備群にならないための予防法
糖尿病予備群では、生活習慣の改善により「糖尿病の発症のリスク」を減らすことができます。
では、具体的には何をすればいいのでしょうか。順番にご紹介していきます。
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
糖尿病を予防するためには「運動」が効果的です。運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進。インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。
また長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、できれば毎日、少なくとも週に3~5回は体を動かしてください。
なお、糖尿病を予防するための運動としては「有酸素運動」と「レジスタンス運動」が推奨されております。
<有酸素運動>
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。
ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。
有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<レジスタンス運動>
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。
スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。
レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
糖尿病予防の基本は「食生活を見直すこと」です。
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。
食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。
バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担は軽くなり、膵臓の能力は回復されます。
なお、食事のポイントについては以下をご覧ください。
<ゆっくり食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<野菜類から食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<アルコールは適量にする>
アルコールには一時的にはインスリンの働きを改善する効果があります。
しかし長期間飲んでいると逆にインスリンの分泌量が低下することがわかっていますので、アルコールは、ほどほどにしてください。
<腹八分目でストップ>
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。
いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。
とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
<間食をしない>
間食をすると血糖値の高い状態が続き、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかります。
また、その状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなります。糖尿病を予防するためにも間食はできる限り控えてください。
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。
そのため、たばこを吸うと「糖尿病にかかりやすくなる」といえます。
日本人を対象とした研究データによると、喫煙者は非喫煙者と比べ糖尿病を発症するリスクが38%高くなると言われています。
ですので、糖尿病予備群の方は喫煙を控えてください。
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群の方は、自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。
健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
また糖尿病予備群の方の“適切な対策”を知りたい方も、いつでもご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
糖尿病治療法の一つ、インスリン療法を解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病の代表的な治療法である「インスリン療法」について解説していきます。
後半部分では「インスリン療法のメリット・デメリット」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
インスリンとは何か
インスリン療法とは
インスリン療法のしくみ
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン療法の具体的な手法
インスリン療法のメリット
インスリン療法のデメリット
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
インスリンとは何か
インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種です。
糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っております。
なお、インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが「糖尿病」です。
糖尿病について詳しく知りたい方は「糖尿病情報センター」をご覧ください。
インスリン療法とは
インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。
インスリン製剤を投与する方法として、「頻回インスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。
頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。
一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。
インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。
なお、インスリン療法については「インスリンとは?特徴・種類・注意点」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のしくみ
インスリンの自己注射を行うのは「1型糖尿病」の方、または「2型糖尿病」のうち内服治療が難しい方です。
不足したインスリンを注射で補うことで、健康な人のインスリン分泌に近づけます。
なおインスリンの自己注射では、効果が長時間持続するインスリン製剤を1日に1,2回と、即効性のあるものを毎食前に打つなどして、この2つの分泌を再現します(どのインスリン製剤を使うか、どのタイミングで注射するかは体格や生活様式などに合わせて調整します)。
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン注射を行う前に、自分で血糖値を測定する「血糖自己測定」を行うことがあります。
なぜなら日々の血糖値を記録することで、血糖コントロールを良好に行えるからです。
また直前に測定することで、「血糖値が低いにも関わらず自己注射を行い、さらに低血糖になる」といったことを防ぐことができます。
血糖自己測定の方法は以下の通りです。
⑴ 血糖測定器、測定用チップ、消毒用アルコール綿、穿刺器、穿刺針、自己管理ノート、針捨て容器を準備し、手を洗ってください。
⑵ 血糖測定器に測定用チップを、穿刺器に針をセットします。
⑶ 指先などを消毒します。そして針を消毒した場所に押し当て、穿刺器のボタンを押して針を刺してください。
⑷ 血液を測定用チップに染み込ませて、血糖値を測定します。
⑸ 残った血液を拭き取り、血糖値を自己管理ノートに記録してください。
インスリン療法の具体的な手法
インスリン注射の具体的な方法は以下の通りです。
⑴ 注入器、製剤カートリッジ、消毒綿など必要な物品を準備します。インスリン製剤が混濁している場合は均一になるようにカートリッジを振ってください。
⑵ インスリン製剤に注射針をセットします(針が曲がらないように真っすぐ刺してください)。
⑶ インスリン製剤の空打ちをして針先まで薬液を満たします。
⑷ ダイヤルを回転させて注射する単位数を医師の指示した値にセットしてください。
⑸ 注射する部位を消毒します。そして皮膚を軽くつまんで直角に注射針を刺してください。
⑹ ダイヤルが0になるまで、しっかりと薬液を注入します。そして10秒程度数え、注入ボタンを押したままで針を抜きます。
⑺ 針はキャップをかぶせてから取り外します。なお、針は1回きりの使用になりますので、ご注意ください。
※インスリン注射をする場所はお腹、太もも、おしり、腕です。
それぞれ薬の吸収速度が異なるため、注射部位を医師から指示される場合があります。
また、同じところに針を刺し続けると皮膚が硬くなり、痛みの原因になったり、薬の効きが悪くなります。
ですので毎回2〜3cmずらすようにしてください。
「糖尿病のインスリン注射器の使い方と副作用の対処法」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のメリット
インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
インスリン治療によって膵臓の働きが回復したら、インスリン注射の回数を減らせたり、経口血糖降下薬だけの治療に戻せる可能性があります(インスリン療法により、膵臓のインスリン分泌機能が回復することもあります)。
インスリン療法のデメリット
残念ながら、インスリンには副作用があります。インスリン療法における主な副作用は、「低血糖症状」です。インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。
低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。
そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。
インスリン療法における副作用について詳しく知りたい方は「糖尿病ネットワーク」をご覧ください。
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン注射は予防接種や採血などでイメージする注射とは異なり、痛みはそれほどありません。
なぜならインスリン注射で使う専用の注射針は、採血用の注射針とは違い、痛みが少なくなるようデザインされているからです(採血で使う注射針の3分の1ぐらいの細さで針の先も特殊なカットがしてあり、痛みが少ないように工夫されています)。
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
上述した通り、インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
そのため、インスリン療法は早期に始めることが効果的です。近年では、高血糖毒性をとり除くために、早期からインスリン注射薬を使ったり、また比較的軽症の糖尿病にもインスリン注射薬を用いる場合があります。
ですので、主治医にインスリン療法を勧められたら積極的に受け入れるようにしてください。
日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会が発表した「糖尿病標準診療マニュアル」でも、いくつかの経口薬を併用しても血糖コントロールが改善せず,HbA1c 9%以上が持続するなら、インスリン療法を積極的に始める必要があると伝えています。
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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2023.01.21
糖尿病と高血圧の関係
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病患者さんにおける「高血圧」の頻度は非糖尿病者に比べて約2倍高く、高血圧患者さんにおいても糖尿病の合併頻度は2~3倍高いと報告されています。
この記事では、糖尿病患者さんに向けて「糖尿病と高血圧の関係」を解説していきます。後半部分では「糖尿病と高血圧の予防」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
糖尿病の血圧値について
糖尿病と高血圧予防
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
【糖尿病と高血圧予防】運動
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
糖尿病患者さんは「高血圧になりやすい」といわれています。なぜ糖尿病の方は高血圧になりやすいのでしょうか。糖尿病患者さんが高血圧になりやすいのには、以下の理由があげられます。
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
血糖値が高い状態では、血液の浸透圧が高くなっています。そのため、水分が細胞内から細胞外に出てきたり、腎臓からの水分の吸収が増えたりして、体液・血液量が増加し、血圧が上昇します。
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
2型糖尿病患者さんには肥満が多いのが特徴です。肥満になると交感神経が緊張し、血圧を上げるホルモンが多く分泌されるため、高血圧になります。このようなことから、糖尿病患者さんは高血圧になりやすいと考えられています。
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
インスリン抵抗性とは、インスリンの作用を受ける細胞の感受性が低下している状態です。インスリン抵抗性は、インスリンが効きにくくなったのを補うためにインスリンが多量に分泌され「高インスリン血症」を招きます(インスリン抵抗性自体が糖尿病の原因にもなります)。高インスリン血症では、交感神経の緊張、腎臓でナトリウムが排泄されにくい、血管壁を構成している細胞の成長が促進されるといった現象が起きて、血管が広がりにくくなり、血液量も増え、血圧が高くなるのです。
<高血圧とは?>
高血圧とは、運動したときなどの一時的な血圧上昇とは違い、安静時でも慢性的に血圧が高い状態が続いていることを指します。具体的には「収縮期血圧が140mmHg以上」「拡張期血圧が90mmHg以上」の場合をいい、どちらか一方でもこの値を超えていると高血圧と診断されます。高血圧は自覚症状がほとんどありません。しかし放置してしまうと心疾患や脳卒中など生命を脅かす病気につながるため「サイレント・キラー」といわれています。高血圧が引き起こす合併症について知りたい方は「高血圧の症状にお困りの患者の方へ」をご覧ください。
糖尿病の血圧値について
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、糖尿病患者さんの降圧目標を、130/80mmHg未満としています。ただし、高齢者では厳しい血圧コントロールは、ふらつきや起立性低血圧などの原因となる可能性があるため、やや高めに設定されています。高齢者では、それぞれの患者さんの病気の状態に合わせて慎重に血圧コントロールをしていきます。詳しくは「高血圧治療ガイドライン2014」に記載していますので、ご興味のある方はご覧ください。
糖尿病と高血圧予防
糖尿病と高血圧予防に有効な対策は「食生活の改善」と「運動」です。順番にご説明していきますね。
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、すい臓の負担は軽くなり、すい臓の能力は回復されます。
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
糖尿病と高血圧を予防するためには「食べ方」も大切です。食事する際は以下のポイントに注意してください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント1>野菜類から食べる
野菜類から先に食べることで食後の血糖値の上昇が緩やかになります。また、野菜や豆類などで少しお腹をふくらませておくと、肉類やご飯の量を減らすこともできます。ですので、食事をする際は、野菜類から食べるようにしてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント2>ゆっくり食べる
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント3>規則正しく3食を食べる
1日に2食や、間隔の空き過ぎた食事の取り方はよくありません。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、規則正しく「3食」を食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント4>腹八分目
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
【糖尿病と高血圧予防】運動
運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進され、インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。また、長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。なお、おすすめの運動は「有酸素運動」と「レジスタンス運動」です。それぞれの運動については下記をご覧ください。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動1>有酸素運動
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動2>レジスタンス運動
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
運動の頻度は「できれば毎日」少なくとも週に3~5回行うのが良いといわれています。しかし、普段から運動に親しんでいない方(または高齢の方)などでは、急激な運動はかえって体の負担となり、思いがけない事故を引き起こしてしまうこともあります。ですので、無理のない範囲で行なってください。運動は定期的に長く続けられることが秘訣です。自然の中で風景を堪能しながらの「ウォーキング」や楽しく続けられる「スポーツ」など、自分にあった運動の方法を探してみてくださいね。
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